引っ越しシーズンの賃貸仲介。来店も、電話も、内見の予約も、いっぺんに増える時期です。
少ない人数で、内見の同行に出て、戻ってきたら申込書類の山。次の予約の時間が迫っている。「この物件、わざわざ立ち会わなくても、お客さまだけで見てもらえたら」。そう考えたことのある方は、きっと多いはずです。
実際、内見のかたちは多様になっています。賃貸入居者の調査では、現地に行かずビデオ通話などで部屋を確かめる「オンライン内見」の実施率が、首都圏で2024年度37.4%。前の年からは増えていますが、年によって増減があり、一本調子で伸びているわけではありません。そして、担当者が立ち会わず、スマートロックや内見予約システムを使ってお客さまだけで物件を見てもらう「無人内見・セルフ内見」も、選択肢のひとつとして根づきはじめました。
ただ、ここまではたいてい「鍵をどう渡すか」の話で語られます。スマートロックで開ける、キーボックスに入れておく、予約システムで時間を区切る。どれも大事な仕組みです。
この記事で扱いたいのは、その一歩先。鍵を渡したあと、誰もいない部屋で、何かあったときに「声をかけられるか」という話です。カメラで「見る」だけでなく、カメラ越しに「話す」。それが無人内見とどう噛み合うのか。どんなカメラを、どこに置けばいいのか。そして、カメラにできること・できないことの線引きまで。順番にお話しします。
無人内見の流れと、4つの「鍵の渡し方」
具体的なカメラの話に入る前に、無人内見が実際どう回っているかを、ざっと共有させてください。ここを押さえておくと、「カメラがどの工程を助けられるか」がはっきりします。
セルフ内見とは、ざっくり言えば不動産会社の担当者が立ち会わず、利用者だけで物件を見られるサービスのことです。鍵の渡し方は、大きく4パターンに分かれます。
- 店舗で鍵を受け取る … お客さまが店舗に寄って鍵を借り、見終わったら返す。確実ですが、往復の移動が発生します。
- キーボックス … 物件のドアノブなどに暗証番号式のキーボックスを付けておき、その中の鍵で開けてもらう。
- スマートロック … スマホのアプリや、時間限定のパスワードで解錠してもらう。
- 現地で担当者が解錠 … 開けるところだけ担当者が行き、内見自体はお客さま単独で。
このうち、いま無人化と相性がいいのがスマートロック型です。Webで予約を受けると、その予約時間帯だけ有効な「時限式のワンタイムパスワード」を内見者のスマホに発行できる。お客さまは自分ひとりで開けて、見て、閉める。しかも、いつ・誰が入室したかは管理画面に履歴(ログ)として残ります。
ここで、最初にいちばん大事な線引きをしておきます。
全体の流れはこうです:予約 → 本人確認 → 解錠 → 内見 → 施錠 → 退出。 このうち「解錠・施錠・ワンタイムパスワードの発行・入退室ログ・予約管理」は、スマートロックや内見予約システムの担当です。

つまり、鍵を開け閉めしたり、誰がいつ入ったかを記録したりするのは、カメラの仕事ではありません。ここはスマートロック側の機能です。AIカメラが受け持つのは、その流れの「すき間」です。人が立ち会えない時間帯に、部屋のなかと外で何が起きているかを見て、必要なら声をかけ、記録を残すところ。両方を組み合わせて、はじめて無人内見が「安心して回せる仕組み」になります。
カメラ越しに、声をかける。双方向音声でできること

当社が映像の仕事で大事にしているのが、双方向音声です。カメラは映すだけのもの、と思われがちですが、マイクとスピーカーを備えたカメラなら、映っている相手に、その場で声をかけられます。当社のAIカメラのページでも、「映像を確認するだけでなく、必要に応じてその場へ声を届け、会話できるのが特長」と紹介しています。
これが、無人内見のいろんな場面にはまります。具体的に3つ。
① 来訪を検知して、遠隔から案内する。 内見のお客さまが部屋に着いた。カメラがその動きを検知して、担当者に通知が飛ぶ。担当者は店舗のPCやスマホから映像を見て、「お待たせしました、奥のお部屋からどうぞご覧ください」と声をかける。現地に行かなくても、人の気配を届けられる。これだけで、初めての無人内見でお客さまが感じる心細さは、ずいぶん和らぎます。
② なりすましや、雑な扱いを抑止する。 人が映ったタイミングで、「ただいま映像と音声で確認しております」とひと言。たったこれだけで、よからぬ目的の人にとっては「見られている」というプレッシャーになります。設備を乱暴に扱う気も失せる。誰も見ていないと思うから雑になるのであって、声が返ってくると分かれば、振る舞いは変わるんです。
③ 退出の確認と、空室の遠隔見回り。 内見が終わったあと、窓は閉まっているか、水回りはそのままか、照明は消えたか。映像で確かめて、消し忘れがあれば声で案内する。離れた場所にある空室を、一軒一軒回らずに見て回れます。
内見する空室の「室内」に置くおすすめカメラ
2MP(1080p) 屋内 小型 AIカメラ スピーカー付きモデル
WV-S71301-F2L(無線モデル WV-S71301-F2LW)
いちばんのおすすめは、スピーカーカメラの WV-S71301-F2L/F2LW です。 マイクもスピーカーもカメラ本体に内蔵されていて、PC・スマホ・タブレットから、映っている相手と双方向で会話できます。エコーキャンセルやノイズリダクションも入っているので、声が回り込んでハウリングする、といったことも抑えられます。横の画角は約134度と広く、暗いところ用の赤外線も約20m届く小型機です。後で触れる検知アプリと連動させれば、人が映った瞬間に決めておいた音声を自動で流すこともできます。1台で「見る・話す」が完結するので、無人内見にいちばん素直にはまる選択肢です。
AIに「声をかけるきっかけ」をつくらせるおすすめアプリ
AI動体検知アプリケーション
WV-XAE200WUX
担当者がずっと映像を見張っているのは無理です。だから、人が来た瞬間だけ通知が飛ぶ仕組みがいる。これを担うのが、i-PROのエッジAIアプリ AI動体検知(WV-XAE200WUX) です。決めた線を越えた、立入禁止エリアに入った、一定時間とどまった、といったパターンを、人・車・二輪を見分けながら拾います。検知するエリアも、見ない場所(マスク)も、それぞれ最大8カ所まで細かく設定できる。だから「内見のお客さまが部屋に入った瞬間だけ」「夜、外周に人影が出たときだけ」と、鳴ってほしいときだけ鳴らせる。誤報だらけだと現場はすぐ通知を見なくなるので、ここを絞れるのは効きます。
このアプリを、さっきのスピーカーカメラと組み合わせると、こうなります。人を検知したら、決めておいた音声を自動で流す。 「こちらは関係者以外立ち入り禁止です」「ただいま映像で確認しております」。担当者が手を離せない時間帯でも、一次対応だけは自動でできる。検知が「声かけのきっかけ」になるわけです。
(なお、版によっては速度検知や共連れ検知も使えます。使いたい検知が対応しているかどうかは、導入時に確認します。無人内見では侵入・滞留・ラインクロスが主役なので、標準の構成で困ることはまずありません。)
AIプライバシーガードアプリケーション
WV-XAE201WUX
そして、内見者や通行人といった「お客さま・第三者が映る」場所では、プライバシーへの配慮も製品で担保できます。AIプライバシーガード(WV-XAE201WUX) は、カメラの中で人物や顔にモザイクをかけるアプリ。しかも、モザイクをかけた映像と、かけていない映像を同時に出せます。ふだんはモザイク版だけを見て、何かあったときだけ権限を持つ人が元の映像を確認する。共用廊下や出入口のように不特定多数が映る場所で、安心材料になります。
AI人物属性識別アプリケーション
WV-XAE205WUX
ちなみに、来た人の性別や年代といった傾向を統計でつかむ AI人物属性(WV-XAE205WUX) というアプリもあります。ただしこれは「どんな層が内見に来ているか」を数で見るもので、本人確認とは別物です。「○○さんご本人ですね」を判定する機能ではない、という点だけは押さえておいてください。来訪者を片っ端から顔登録するような使い方も、後で触れる法令の面からおすすめしません。
「双方向音声」AIカメラのご相談はRTCテックソリューションズへ
当社は1996年から、映像コミュニケーションの仕事を続けてきました。テレビ会議をはじめとする映像ソリューションで、導入は3,000社以上、累計10万台以上の実績があります。この映像事業の蓄積を土台に、AIカメラ事業を立ち上げました。
「うちはスマートロックは入れたけど、防犯と遠隔対応が手つかずで」「複数の空室を、現地に行かずに見て回りたい」。そんなお困りごとから、お手伝いできます。まずは現状をお聞かせいただくところから始めさせてください。

よくある質問(FAQ)
Q. 無人内見・セルフ内見は、防犯面で危なくないですか?
A. 「リスクはある」前提で備えるのが正解です。実際、内見を装ってキーボックスの暗証番号を盗み見て後日侵入する、空室を荷物の受け取り先に悪用する、といった実例を業界団体が紹介しています。対策の基本は、スマートロックによる鍵と入退室の管理、防犯カメラによる抑止と記録の両輪。双方向音声つきのカメラなら、来訪を検知したその場で声かけまでできます。
Q. AIカメラだけで、無人内見の鍵の開け閉めまでできますか?
A. できません。解錠・施錠、ワンタイムパスワードの発行、入退室ログの記録は、スマートロックや内見予約システムの機能です。AIカメラが受け持つのは「見る・話す・記録する」ところ。両方を組み合わせて使う前提で考えてください。
Q. 内見に来たお客さまへ、本当に遠隔で声をかけられますか?
A. はい。来訪を検知したきっかけで、PC・スマホ・タブレットから映像を見ながら声かけ・案内ができます(スピーカーカメラなど、マイク・スピーカーを備えた機種で送受話します)。ただし「ご本人かどうかの確認」はカメラの役割ではなく、予約システムや身分証確認など別の手段が担います。
Q. 録音したり、声をかけたりするのに、お客さまへの告知は要りますか?
A. 「法律で必ず○○せよ」と言い切れる話ではありませんが、撮影・録音していることを掲示などで分かるようにし、目的をはっきりさせておくのが、トラブル防止とプライバシー配慮の面で一般的に推奨されます。顔認証(顔識別)を使う場合は、利用目的の通知または公表が必要になります。なお、本記事で紹介した構成では、顔認証は使わない前提で考えています。
Q. 空室は人がいない分、カメラ映像はどれくらい保存すれば?
A. 法律で一律に「○日」と決まってはいません。利用目的に必要な範囲で保存期間を決め、不要になったら遅滞なく消去するよう努めます。運用ルールとして「●日で上書き」を自分たちで決めておきましょう







